Soupe du Louve

短歌・俳句・日々のきれぎれ、狼のスウプ。

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とおとの一句鑑賞 ∞ 鶴食うて

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 鶴食うてよりことのはのおぼつかな   夏井いつき
  (俳句新聞いつき組 復刊1号 放歌高吟 「鶴」 より)

昨年('14年)12月のいつき組東京句会・通称東京ロマンチカ句会で特選に採らせて頂いた一句。
句会なのでもちろん作者名は伏せられていたのだけど、句のもつおだやかな凄みに一瞬にして心を鷲掴みにされ、迷わず特選の丸をつけたのだった。
作者が組長だと知って、やっぱりなと唸ると同時にほっとしたのは、こんな凄まじい句を詠む人が他にもいたら恐ろしくてたまらないから。おおこわ。

句会では特選をつけた句には必ず感想を言うことになっているのだけれど、短い時間で自分の読みや思いをまとめるのは難しくて、でもどうしてもこの句の凄さを読む人に伝えたくて、組長の許しを得てこちらで鑑賞することにした。

以下、鑑賞。




現実に自然界に生息する動物ながら、古来より千年の齢を生きる不老長寿の象徴とされ、珍重されてきた鶴。
その「鶴」を「食う」とは、なんと大胆不敵な一句だろう。

現代日本において鶴の肉を食べることが可能か否かは置いておくとして、江戸時代にはやはり長寿の妙薬あるいは珍味として、大名へ献上されることもあったようだ。
そんな肉を食ってしまった句中の人物、発する言葉さえ覚束なくなってしまったという。
なるほど、その言葉たる一句は冒頭を除き全て平仮名で書かれ、今にもはらはらとほどけてしまいそうにたよりない。

何かを得る代償に別の何かを失う、あるいは何かを負う。
それは例えば人魚姫。例えば八百比丘尼。
洋の東西を問わず古くから語り継がれてきた物語のひとつのかたち。

神聖な鶴の美しい喉を絞めてその肉を食ったなら、言葉を紡ぐ力を失うのは当然の報いだろう。
禁忌を犯して口にした美味の余韻にうっとりと浸るうち、毟られた無数の純白の羽根はゆっくりと言語野に降り積もり、やわらかな繭のように言の葉をくるんでゆく。
凍天をれいれいと切なげに啼きわたる鶴の一羽は、あるいはそんな風に言葉を失った人間のなれの果てなのかも知れない。

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001:呼(とおと)

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どんな名でんでくれても構わないあなたの声のするほうへ ゆく

題詠Blog2015、参加します。(とおと)

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今年も走り抜きます。
どうぞよろしくお願い致します!

まる裏レポート! 〜本戦編(1)〜

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またまた日が開いてしまいましたが、まる裏俳句甲子園の本戦の様子をお伝えしたいと思います。

本戦は予選上位8組によるトーナメント戦。
ステージ左右に紅白の出場者席が作られ、対戦チームがそれぞれ席に着きます。
試合開始と同時に、ステージ後方のスクリーンにはプロジェクターで各チームの一句目が映し出され、それぞれの作者が2回ずつ読み上げたあと、攻守2分ずつのディベートがスタート。
2分が経過すると質疑応答の途中であってもそこで終了。
審査員は句の出来とディベートの内容を見て、それぞれが勝ちと思うチームの旗を上げ、その数によって一句ごとの勝敗が決まります。
同様に2句目・3句目と対戦を行い、先に2勝を上げたチームが次の試合に進みます。

今回の審査員は夏井いつき組長、らくさぶろうさん、青木亮人さん、亜桜みかりさん(前回まる裏優勝チームのひとり)の4人に、Facebookによる一般投票でした。

作品はこちらではご紹介できないのですが、各チームの紹介と試合結果を以下に載せておきます。
(尚、主催の「まつやま俳句でまちづくりの会」のFacebookページでは、作品も結果も読めます。)

<第1試合>【紅】みっくすじゅーす vs 【白】ぴとり
オーストラリア留学中の紗蘭さん・ひまわりさん姉妹と、未悠さんの女子中学生3人からなるみっくすじゅーす。
皹という、現代ではなかなか実感の湧かない季語を、「魔女」や「テロリスト」など、どきっとするような単語と合わせた新鮮な詠みぶりで、実力者揃いのぴとり(ピアノフォルテさん・とりとりさん・理酔さん)を圧倒。
3−0で、みっくすじゅーすの勝利。

<第2試合>【紅】PKR vs 【白】8823(はやぶさ)
西連寺ラグナさん・桜井教人さん・ポメロ親父さんのPKRと、鞠月さん・恋衣さん・樫の木さんの8823。
いずれも、働く者の手、その手にある小道具にクローズアップした巧みな句が並びましたが、わずかな差で、2−1でPKRの勝利。

<第3試合>【紅】ニューグランドホテルズ vs 【白】今西α
揃いのダークスーツにサングラスという異容で現れた謎の男性3人組、ニューグランドホテルズ。
エバンス伊藤・エルビン三木・曾根コルトレーンという、ジャズメンを思わせる名前も風変わりですが、出された俳句はどれも確かな実力を感じさせる味わい。どうやら、それぞれ名のある結社からの刺客らしい…。
3−0で、今治西高校のちこどの・みおたむとOBたっくんからなる今西αに圧勝。

<第4試合>【紅】カルチャーショック vs 【白】ドクトルマイみん
おそらくは今回の優勝最有力候補と見られていたであろうドクトルマイみん。ドクトルバンブーさんと、マイマイさん・ふじみん(こと、2014年現代俳句新人賞受賞の岡田一実)さん夫妻によるチームです。
対するカルチャーショックは、福原くん・武田くん・海成くんの男子中高生3人組。破調句には少し拙さがあるものの、読み手の想像を誘う余白を持たせた詠みぶりで、完成度の高い句を揃えたドクトルマイみんを2−1で下しました。

みっくすじゅーす、カルチャーショックと、若いチームの活躍が目立った波乱の1回戦でした。
従来の皹の概念にとらわれない発想で作られた俳句が評価されたようです。
面白かった!

〜本戦編(2)〜 へつづく。

まる裏レポート! 〜予選編〜

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すっかり報告が遅くなってしまいましたが、去る1月11日(日)、松山市道後の子規記念博物館で行われた「第13回高校生以外のためのまる裏俳句甲子園」に出場してきました!

3人1組のチーム戦で、午前中に予選、午後から予選での得点上位8チームによる本戦が行われるこの大会、朝9時半の出場者エントリーの段階から、観客も含め大勢の人々が会場に詰めかけていました。
わたしは、俳句ポスト仲間(=ハイポニストと呼びます)のちびつぶぶどうさん・こまさんとの「ちびつぶシスターズ」で出る予定でしたが、俳句ポストをご覧の方はご存知のように、受験生のちびつぶさんは予告通り会場に現れず…急遽、こまさんの元上司で松山在住の破障子さんに代打ちをお願いし、「チームちびつぶ」として出場することになりました。
(余談ですが、今回のようにメンバーが足りなかったり、チームを組む相手がおらず一人でやって来た場合も、スタッフの方がほかの個人参加者を見つけて即席でチームを組ませてくれます。)

予選は、その場で題が発表される「席題」形式、出場者全員が一句ずつ、5分で作句しなければなりません。
そして5分後に集められた投句用紙は、ステージ上で審査員の夏井いつき氏(=組長)、司会のNHKアナウンサー・板倉卓人氏に読み上げられ、次々に採点されてゆきます。
点数は1点(まだまだ俳人)・2点(まあまあ俳人)・3点(そこそこ俳人)・4点(あんたは俳人)の4段階。
チームの合計得点数が上位の8チームが、本戦トーナメントに進みます。
因みに今回の出場チームは27チーム!なかなかの難関です。

気になる今回の予選席題は「成人の日」。
意味にしても6音という音数からしても、とても作りにくい難題です。
しかも、作句中はBGM(ターミネーターのテーマ…)が大音量で流れ、ステージではマイクを持った組長と板倉さんが楽しげに喋り続けているため、もう気が散って仕方がない!
また、採点も、初めの方は組長主導で厳密に振り分けられている感じでしたが、だんだん板倉さんの意思が強く反映された甘いものになってゆき、「え、その句が「そこそこ」…?」「いやいや、その句は「まだまだ」でしょ」と思うことしばしば。
「さっきのあの句が3点ならこの句も3点でしょう」と、選が進むにつれて絶対評価でなく相対評価になっていくのも、ちょっと気になるところでした。

比較的前半に読まれ、厳しい評価に晒されたチームちびつぶ。
精一杯がんばりましたが…予選敗退となってしまいました。
東京句会のメンバーと即吟やディベートの練習をし本戦に備えて来ただけに、とても悔しい!
同じく東京句会で結成された「立待ブラザーズ(立待さん・笑松さん・あつちやんさん)」も、本戦進出の最後の8組目まであと一歩というところまで善戦しましたが、同点決勝のトランプ引きで惜しくも2位となり、敗退。

とはいえ、大会の見どころは何と言っても本戦の俳句対局とディベート。
これを純粋に観客として楽しめる、と思うと、ほっとし、嬉しくもありました。

因みに、4点「あんたは俳人」に選ばれた句はステージ上に並べて掲示され、予選の最後に客席の挙手によって最優秀句が選ばれます。
今回の最優秀句は、チーム「ぴとり」のピアノフォルテさんのお作。
災害募金と成人の日を詠み合わせた一句でした。

本戦出場8組が決まると、本戦の兼題が発表されます。

 一回戦: 皹(あかぎれ)
 準決勝: 青
 決 勝: 雪 

(尚、決勝の「雪」だけは毎年恒例。本戦に出られなかった人たちもみな、雪の句だけは作って大会に臨んでいます。)
本戦出場チームはこの後、昼休みの前半30分の間に3つの兼題で一人一句ずつ、合計九句を作り、対局順を決め、ディベートの作戦を練らなければならず、休む暇がない!

そんな様子を見守りつつ、敗退組のわたしたちは、午後はいったいどんな句が飛び出すのだろう、とわくわくしながら、頼んでおいたお弁当をのんびり頂いたのでした。

〜本戦編〜 へつづく。


そうそう、わたしの予選提出句は、

 咲き揃ふ成人の日の花くらべ   とおと

3点「そこそこ俳人」でした♪

「第13回まる裏俳句甲子園」に出場します!

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来たる1月11日(日)、松山市立子規記念博物館で行われる「第13回まる裏俳句甲子園」に、どういうわけかわたくしめが参戦することになりました。

俳句甲子園と言えば毎年夏に松山で行われる「全国高校俳句選手権大会」ですが、今回のこの催しは、正式名称に「高校生以外のための」とある通り、「俳句甲子園という楽しいイベントを、高校生以外の大人も子供も楽しもうぜ!」というコンセプトのようです。

本家・俳句甲子園では学校対抗、5人1組のチームで兼題で俳句を作り、句の内容と鑑賞(ディベート)で得点を競いますが、この「まる裏」も、人数こそ違え(こちらは3人1組)、対戦形式はほぼ同じ。
本家を見たことのある方なら分かると思いますが、文芸というよりはスポーツに近い、とても熱くスリリングなゲームであります。
出場を決めるまで俳句甲子園をろくに見たことがなかったわたしでしたが、頼もしいことに、いつき組東京句会メンバーにしてまる裏優勝経験のあるミルさん、そのとき破れて準優勝となった一人さんを始め、多くの句友の応援を受け、練習会まで開いて頂き、本番さながらの空気を感じることが出来ました。

人見知りだし緊張しいだし即吟めちゃくちゃ苦手だし(まる裏の予選は席題で5分で即吟、チームの合計得点が低いとそこで敗退となります)、どこまで行けるかは分からないけれど、行くからには思い切り楽しみたい。
メンバーは、東京句会のこまさんと、俳句ポスト365でこまさんとわたしをチームメイトに指名し、出場を決意させてくれた自称JK・ちびつぶぶどうさん。人呼んで「ちびつぶシスターズ」!
もっとも、センター試験を理由に出場を渋るちびつぶさんが来てくれるのか、非常に怪しいのだけれど…
こまさんとわたしは来てくれると信じ、自主トレーニングに励んでいます。
(ちなみに、メンバーが足りない場合はスタッフの方が適宜個人参加の方をあてがって下さるのだとか。)

というわけで、今週末はとりわけ楽しみな3連休。
応援よろしくお願い致します!

題詠Blog 2014 ∞ とおとの題詠百首まとめ

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001 咲 咲き匂ふ花のすがたの惜しみなく愛だの死だの知つたことかよ
002 飲 青き実のもつ毒甘しうつとりとまだやはらかき核(さね)飲み下す
003 育 飼育さるる者たる矜持天鵞絨(びろうど)の細き首輪は汚さずに食ぶ
004 瓶 いくつかの恋のかたへにありし香を留めて愛(は)しき香水の瓶
005 返事 うつせみの空気人形 返事さへ要らない夜が欲しいのでせう?
006 員 欠員が出たと言はれて来ましたが戦隊基地はこちらでせうか
007 快 雨の夜の快楽(けらく)の夢は果てなくて木陰に黒く熟れる鰐梨
008 原 夕さればぞめき出す書架開いてはならぬ原色人魚図鑑は
009 いずれ あなたとはいづれの世にも会ふさだめ背を撫づる手にゆるく尾をふる
010 倒 倒錯の行為の果てのまどろみよ深紅の澱は美酒にこそ結べ

011 錆 神錆ぶるつはものどものとてちてた喇叭鳴るなるたそがれの国
012 延 延ぶる手に触るるすべての愛しきに狂ふがごとく盛る葛の葉
013 実 抗へるうすき衣に歯立つれば待ちゐたるごと滴る果実
014 壇 月はいま天頂を過ぎ祭壇の贄なるわれを赦したまへり
015 艶 丈なせる黒髪ざんと水に解き凄艶とはおまへをいふ詞
016 捜 とり澄まし『捜神記』など読んでゐるが君、肝心の首はどうした
017 サービス サイレンサービスチェに隠し勝ち気なる倭男具那よいざわれを討て
018 援 援護する義理など無いが右肩の誘導弾が「往く」と聞かぬのだ
019 妹 さにつらふ妹背の鳥のみだりをの解く間も惜しく啼き交すらむ
020 央 傾国の美女とはさても物騒な。ほ、ほ。と笑ひて未央柳は

021 折 黒百合手折り暮るる通ひ路降り来よ己が小暗き香に眩めきつ
022 関東 逢坂の関東雲の影させばゆくは止めぬ淡き契りよ
023 保 遠つ人待たじと去ぬる三保の原松の上枝に月は満ちみつ
024 維 小さき蜘蛛光を吐きつ降り来たり天維は時にかくもかそけし
025 がっかり がつかりとお祈りメールを閉ぢる さう、モモレンジヤーにぼくはなれない
026 応 白玉を露と応へて消ゆるよりつらぬきとむる緒をぞ結ばむ
027 炎 陽炎の燃えたつ野辺に降り立てばわが血も肉も滴るみどり
028 塗 常春の泥に塗れて兄妹世のはじまりの戯れをせり
029 スープ 一椀のスープがひとを救うこと(スウプ・ストック、スタア・スロウリ!)
030 噴 寄る辺なき言葉にすがる愚かさよひとりの海にぽつと火を噴く

031 栗 天少女尾花栗毛の駒を駆り枯野をゆけり雲母を引きつつ
032 叩 狂ほしく脈打つ心(しん)は誰のもの横たはる胸空しく叩く
033 連絡 連絡船最終便を乗り違へ未だ遠しよニライカナイは
034 由 旅するに理由などなく何処にも帰さぬからだで泳ぎたいだけ
035 因 花の野のいかな因果かやすやすとわが眼の裡に死ぬる羽虫
036 ふわり わが腕ふはりと躱し何ごともなきがに笑まふ小癪な蝶め
037 宴 饗宴の酔ひのまにまに白菊の襲を乱す指(および)を許せ
038 華 美しきものは儚し華沙(ワルシヤワ)の古き御堂にふれる初霜
039 鮭 塩鮭焼けば鮭の皮よく焦ぐるまで皮喰へば身は打ち遣るこころ
040 跡 齧りあふ林檎のしるき食み跡を証しとなせば眩き夜明け

041 一生 他生などまるで忘れた顔をして一生大事にするなんて云ふ
042 尊 愛(かな)しきは自尊のこころうるうると七竈の実爛るる真昼
043 ヤフー ハレルヤハレルヤフールの札を引き抜いて崖っぷちから歩き出そうぜ
044 発 口にするそばから揮発する言葉その一瞬の鋭(と)き香を愛す
045 桑 美しき扶桑の国に十羽目の金烏墜ちゆく 永きたそがれ
046 賛 礼賛の麗句をいくら呉れたつてあたしのパアパはひとりきりなの
047 持 往き会ひし若き僧侶の抱きゐしは熱持つごとき乱菊の束
048 センター 歴戦のファッショニスタが割拠するファッションセンターそれがしまむら
049 岬 雨の夜の狭きベツドは岬回(みさきみ)の荒磯を喘ぐ小舟のやうに
050 頻 まなざしで交す約束さうあれは木の実頻降る或る午后のこと

051 たいせつ もういっそたべてしまいたいせつなてきあいのひとつのけつろんとして
052 戒 戒めを解くがに指環はづされて刻まれし名のふと遠ざかる
053 藍 「月夜」とふ濃藍色のインクもて文を綴ればたゆたふおもて
054 照 忘れじと拾ふ照葉のひとひらの燃ゆるくれなゐ 忘るるものか
055 芸術 芸術の神は気まぐれめくるめくアール・ブリュットわが頬を撲つ
056 余 天上は一面の余花まばゆさに目を細むれば揺るるおもかげ
057 県 県境をなす肥の川は神代より荒びこそすれ豊けき大河
058 惨 つひにわれ父を知らざる食卓にま白き塩よ惨惨と降れ
059 畑 はじめに水ありし国かも山あひの地図を辿れば出会ふ「雨畑(あめはた)」
060 懲 つくづくと懲りぬ二人よ知りにける蜜の甘きに飢うるばかりに

061 倉 引き寄する胸倉に鋭(と)き香を湛ふ汝ぞ友にして終のこひびと
062 ショー 狂乱のショーはお終ひ 傀儡師も傀儡も匣にお戻りなさい
063 院 うちひさす京都大原三千院星のかざしのたまゆらに揺れ
064 妖 緑髪にあをき胡蝶の翅かざし妖精王は夜を渡れり
065 砲 うつろなる砲身一門身に抱へ戦ふはをのこばかりならずや
066 浸 癖のある一字一字をほどくやうに真水に浸す封筒の束
067 手帳 殴るがに今日ありしこと書き終へて手帳閉づれば疼くゆびさき
068 沼 沼の面にうつろふかげに遊ばれてひととき暗む君がよこがほ
069 排 生きて在ることの奇跡を思ひやれば排泄もまた尊き営為
070 しっとり 抱き上げし猫しつとりと濡れそぼちどこをどうしてここへ来たやら

071 側 心あてに側ひらの草折りとりてひとり占ふ恋のゆくへは
072 銘 黒き土ふかく眠らむつもりゆく雪のはだれを墓碑銘として
073 谷 呼ばふたび返るこだまの君に似てなほ離れがたき谷風の町
074 焼 古き写真火に焼べをれば火の中を笑まふ二人のあり 目を逸らす
075 盆 銀盆をあふるる葡萄酒(ワイン)飲み干して永久に踊れよ吾妹子サロメ
076 ほのか ほのかをるその適量がわからずに浴びるほど振るオオ・ドウ・コロオニユ
077 聡 耳聡き草食獣の耳ふたつ伏しつつ寝ぬる夫のいとしも
078 棚 霜の夜に星の赤子は生まれむと棚機つ女の織る天ごろも
079 絶対 わが内に坐すさびしき絶対主いかな問ひにも「否」とのたまふ
080 議 八雲さす出雲八重垣神議り綾なす糸に手繰るえにしは

081 網 あはれアラクネ死なないことを許されて永劫紡ぐ天網の糸
082 チェック み空よりチエツクメイトの声のして知りぬすべてはゲームなりしと
083 射 わが眸(まみ)に射すくめられて声も出ぬ小鳥よ小鳥あはれな娘
084 皇 高光る日も衰へてうつろなる皇帝ペンギン舎跡を照らすも
085 遥 ああ遥かなる沖にふりつむ雪だとかあなたの嘘はいつも奇麗だ
086 魅 自づから魑魅随へて魂魄を顕したまふ学者の鑑
087 故意 置かれある革手袋のつめたさで未必の故意に口づけてゐる
088 七 おろかなるオリオン遠く見霽かす七姉妹らのくすくす笑ひ
089 煽 はかなげなフリルは風に煽られて冬蝶の身を離れむばかり
090 布 フアム・フアタール今宵は碧きガウンにてわれを迎へよ汝が棲む画布に

091 覧 古びたる国語便覧繙けばしぶしぶ黙る名文士たち
092 勝手 勝手不如意かつてふによいと唱ふればままならぬ身も何やら可笑し
093 印 たつぷりと深紅の蝋を滴らせ最後の文に封印をせり
094 雇 凍星を君に雇ひて仰ぐ夜の頬を流るる水の温しも
095 運命 それはもう運命的なたしかさでわたしを穿つ稲妻だつた
096 翻 吹きすさぶ風に大きく翻すまつさらな旗うつくしい旗
097 陽 太陽は嘘つきだつて知つてゐて騙されにゆく、さういふプレイ
098 吉 み吉野の末枯るるごときさくら木もはや小さき芽を孕み眠れり
099 観 久方の天体観測すばるだのプレアデスだの好きに呼びあひ
100 最後 取つときの最後通牒忍ばせて臨む逢瀬のゆくへやいかに

完走報告(とおと)

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百題はかくも険しき道なると知りつ挑むも楽しかりけり

なんとか完走できました。ありがとうございました!

100:最後(とおと)

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取つときの最後通牒忍ばせて臨む逢瀬のゆくへやいかに

099:観(とおと)

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久方の天体測すばるだのプレアデスだの好きに呼びあひ

098:吉(とおと)

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野の末枯るるごときさくら木もはや小さき芽を孕み眠れり

097:陽(とおと)

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は嘘つきだつて知つてゐて騙されにゆく、さういふプレイ

096:翻(とおと)

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吹きすさぶ風に大きくすまつさらな旗うつくしい旗

095:運命(とおと)

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それはもう運命的なたしかさでわたしを穿つ稲妻だつた

094:雇(とおと)

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凍星を君にひて仰ぐ夜の頬を流るる水の温しも

093:印(とおと)

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たつぷりと深紅の蝋を滴らせ最後の文に封をせり

092:勝手(とおと)

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勝手不如意かつてふによいと唱ふればままならぬ身も何やら可笑し

091:覧(とおと)

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古びたる国語便繙けばしぶしぶ黙る名文士たち

090:布(とおと)

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フアム・フアタール今宵は碧きガウンにてわれを迎へよ汝が棲む画

089:煽(とおと)

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はかなげなフリルは風にられて冬蝶の身を離れむばかり

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